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2026年2月18日の大崎裕史の今日の一杯

東京都文京区御茶ノ水

【期間限定】ニラ玉曲者(1150円)

ラーメン大至@御茶ノ水/末広町/湯島(長文ご容赦)
「普通の最高峰」「天才で変態」の異名を持つ「大至」店主がまたまた何か始めたらしい。『曲者(くせもの)シリーズ第四弾』、その名も『ニラ玉曲者』。あえて長い名称で呼ぶならば『ニラ香味玉子出汁曲者つけ麺』となる。

2022年1月に“曲者つけ麺”が初登場。熱々スープに入ったラーメンを冷たいつゆにつける常識やぶりの曲者つけ麺シリーズの元祖。この時にまさか、第4弾まで進化していくとは誰が思っただろうか?店主も思っていなかったのでは?(^^;
ヒントになったのは「永福町大勝軒」でラーメンと生卵を頼んで食べる食べ方。私も何度かそうやって食べたことがある。それはあくまでも“ラーメン”が主役であり、オプションの食べ方だ。今回の“曲者”シリーズは【つけ麺】なのである。世に増えている「昆布水つけ麺」を例に取ると、昆布水の代わりに熱々スープになり、つけ汁の代わりに冷たい玉子出汁で食べるスタイル。

今年で4年目になるが、これまでいくつかの“変化球”が登場しており、「山の曲者」「昆布水曲者」と続き、今回の「ニラ玉曲者」が第4弾ということになる。昨年までは「昆布水曲者」が曲者シリーズの最高峰、と呼んでいたようだが、いやいや今回の「ニラ玉曲者」が逆転最高峰になったのではないだろうか?つけ麺界の“りくりゅうペア”とでも呼んでおくか。奇跡の大逆転である。しかも、発想は賄いで食べていた奥様がニラを加えて食べていたのを店主がアレンジして商品化してしまったのだ。まさに“ペア”の仕事、曲者コンビである。

さて、すでに長くなってきたので味の方に移る。まず、卵の方には「卵出汁」が作られており、これがいわゆる“つけ汁”である。「なんだ、ニラそばを分離しただけじゃないの?」と言うなかれ。店主は理系的発想のこだわり派。そんな安易なやり方は物理でも化学でもない。緻密な計算の元に設計されている。卵出汁には低温でじっくり香りを引き出した“ニラ香味油”が加わっている。これが実に効果的。浸けて食べた一口目に「おぉっ!」と声が出てしまうほどにおいしい。

そして、ラーメン風に見える麺の方はパッと見、「ニラそば」である。昨今、流行りつつあるニラそばを大至もとうとう取り入れたか。いやいや、そんな簡単な真似事はしない。ニラのカット一つ、研究して、この長さ、この量になっている。そして、これは“つけ麺”なので麺の方が「ニラそば」で完結してしまっては、曲者シリーズにならない。単なる「ニラそば、卵オプション」になってしまう。そう、面白いことにそのまま食べても、ちゃんとおいしいのだが、その器一つでは完成してないのである。おいしい昆布水つけ麺の麺だけを食べて「このまま食べきってしまいそうなくらいおいしい」なんていう感想を書いたことがないだろうか?それくらいおいしくても昆布水つけ麺は、麺を浸けて食べて初めて昆布水つけ麺になるように設計されている。そしてこの“曲者”も麺だけで食べられないことはないがそれでは完結してないので、浸けて食べると・・・。なんと素晴らしい!『ニラ香味卵出汁曲者つけ麺』という意味がわかる。納得できる。そして、スタンディングオベーションである。(実際は立たなかったが)

さらに、信州名物「八幡屋礒五郎の七味」を加えたり(これが味を引き締めます)、後半きくらげ(別添)を加えたりして変化を楽しめる。麺があっという間に無くなってしまった。愛知県から有名店主もこれを食べに来ており、歓喜の声を上げていた。同じように「麺が一瞬で無くなってしまいましたよ!」と店主に抗議(笑)。私なんて、食べ終えて駅へ向かう信号が赤で立ち止まった時に、戻ってもう一回食べようかと思ったほど。かといって大盛りじゃダメなんだろうなぁ〜。ご飯は必須みたいですが、私は連食優先でご飯は我慢。
いや〜おいしかった。「天才で変態」から「天才で変態な曲者」と呼びましょう。店主が一番曲者です(笑)。
最後に理系的発想店主のこだわりをあと二つ紹介。
『フレッシュニラを直前に熱々脂でジュっと、しなやかな食感と甘みを引き出します』
そしてもうひとつ、お店のスタッフ的にはかなり面倒な事をやっているのです。
『茹で時間差で「柔と硬」を同居させた傾奇者細麺がガッチリ受け止めます』
ということなのです。この手間とこだわりが少しずつ得点を積み重ね、逆転金メダルになっていくのです。(オリンピックの時期なのですみません)
2週間程度の発売なので食べ逃さないように!

大崎裕史
大崎裕史

(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンフェスタ実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2024年6月末現在約14,000軒、約29,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)がある。